ミスサンタクロース

「ミスサンタクロース」

昨日、スーパーの文房具売り場に、 なぜか、サンタクロースの衣装のレディス版が 3700円で売られていた。首なしマネキンが着ていた。 9号サイズくらいだった。 「こんなん買う人いるんだろうか?」と不思議だった。
私の高校は私服だった。 当時の私は、 赤いチェックのフード付の白い縁取りのあるダッフルコートをよく着ていた。 母が私に買い与えたものだった。 私は、主体性のほとんどない子どもだった。 母が用意してくれたものを、なにも考えずに着ていくような子どもだった。 うちの母は、おだて上手だったので、 「まーかいらしわー。よー似合うわ?」 なんて言われると、「そ、そう?えへへ」 とつい、その気になってしまうのだった。 そのコートをしょちゅう着ていった私は 仲間たちからサンタクロースと呼ばれていた。 ・・・・たしかに。 ある日私の仲間たちが 私と全く同じタイプのコートを着ている2歳くらいの 女の子に遭遇したそうだ。 「あ、○○のとおんなじや!○○のとおんなじや!」(○○は私の旧性。私は苗字を呼び捨てにされていた)とみんなで思いっきり笑ったらしい。 その時の様子をその場にいあわせたという仲間が 私に面白おかしく話して聞かせてくれた。 私はその女の子(ほとんど赤ちゃん)には、残念ながら、対面していない。 それから私は、急にそのコートを着たくなくなった。 母にいくらおだてられようとも。 もう着たくなくなった。
そのようなことを、そのサンタクロースの衣装を見て、ふと思い出したのだった。

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